タイワンシジミ種群(タイワンシジミ,カネツケシジミ)

 

 

 

 

 

英名:  Asian clam

学名:  Corbicula fluminea, C. fluminea f. insularis, C. fluminalis (日本で野生化している外来シジミには複数の系統があるが,日本在来種のマシジミC. leanaを含めて分類が混乱している.雄性発生するのでミトコンドリアDNAのみで系統を調べるのは難しいかもしれない.殻の色も手がかりになるが,若い個体や砂礫地では淡色の傾向があるなど生育段階や環境でも変化する)

原産地:  極東ロシアからタイまでの東アジア.北米,ヨーロッパ,南米に野生化

 

原産地での生態

淡水産の二枚貝.普通の二枚貝と違って浮游幼生(プランクトン)を経ないで成長することができるので,湖のような止水域から田園地域の細流まで,幅広いハビタットに棲むことができる.卵が発生するときに卵側の核が捨てられ,精子側の核の遺伝情報のみに置き換えられる(雄性発生).

 

情報源

タイワンシジミ類調査ガイド

侵入生物データベー

GISP来生物データベー(英語)

Wikipedia

現況(神奈川県周辺)

河川長8kmセグメントによる集計.在来マシジミや複数の外来シジミ分類群どうしで交雑している可能性があるため,外来シジミの遺伝子を持つタイワンシジミ・マシジミ個体群の分布と考えると良いのかもしれない.背景地図は国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図200000(地図画像)横須賀,東京,静岡,甲府を複製したものである(承認番号 平21業複,第31号).

 

 

概 況

 

l  相模川や金目川の流域では,平野部の河川と水源の山中湖に野生化しています.

l  広域的には都道府県レベルではすでにほぼ全国に分布しているようですが,図で見るようにローカルには神奈川県内でも未分布の水域が存在します.

l  分布拡大速度は明らかでありませんが,これから平野部の未分布の河川に分布拡大する可能性があります.

l  上流域については,これから山中湖から下流の桂川に分布拡大するのか,あるいは桂川や支流の渓流は流速や底質の安定性などの環境が生息地として不適なのかは,今後の生息適地の調査により明らかになると思われます.

 

 

 

注意・警戒すべきこと

 

l  在来のマシジミと交雑し,マシジミ個体群が消滅する可能性があります.マシジミの卵とタイワンシジミ種群の精子が受精すると,在来のマシジミの核の遺伝子がタイワンシジミのものに置き換わり,タイワンシジミとして成長します(雄性発生).北米では貝殻などが水路やパイプを詰まらす被害が出ています.

l  輸入シジミの畜養や廃棄などで野生化します.家庭での砂出しのときに稚貝や精子が流出するとの説もあります.

l  すでに分布している水域から未分布の水域への川砂利などの移動や,新しい水路の開設を避けることで分布拡大を防ぐことができる可能性があります.

l  自然を豊かにしようとして行う生物の放流に付随して分布を拡大するため,注意が必要です.水草や砂に混在するほか,神奈川県内ではホタルの幼虫放流でカワニナとともにタイワンシジミ類をエサとして放流する,在来種のマシジミと思い込んで広範囲に放流する,などの事例が知られています.

 

 

 

調査のお願いとデータ共有

不在地域とすでに分布している地域がわかっていれば,不注意で持ち込まないように努力することができます.

l  身近な未調査地域での調査を行って頂ければ大歓迎です.セグメント調査を行って頂いた場合は調査票にて報告をお願いします.
<タイワンシジミ類の態と探し方>
 <セグメント調方法> <セグメント調票>

l  セグメント設定地域外(神奈川県外も)で発見された場合も,報告して頂ければ感謝します. <地点報

l  これまでに報告されているセグメントごとの調査データをダウンロードできます. <セグメント調査データ>

 

 

掲載日:2009430日 

分布データ: 桂川・相模川流域協議会(多賀照子、宮野貴ほか),向上高等学校生物部(園原哲司ほか)による現地調査

園原哲司・吉田直史.2005相模川水系におけるタイワンシジミの出現状況と神奈川県内のマシジミの生息状況.神奈川自然誌資料 26: 103-108.

西栄二郎.2005.多摩川中流域におけるタイワンシジミの分布.神奈川自然誌資料 26: 109-110.

概況,注意・警戒事項の記載者: 

種特性の記載: 

 

 

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