ウチワゼニクサ(外来チドメグサ類)

撮影:2009年4月27日,神奈川県南足柄市中沼の狩川支流における野生化個体群

 

 

英名:  Pennywort
(チドメグサ類の総称)

学名: Hydrocotyle verticillata
特定外来生物のブラジルチドメグサ(H. ranuncloides)とよく似た大形の外来チドメグサ類だが,葉身が葉柄に盾状につく点で区別できる.

原産地:  北米南部と中央アメリカ.ブラジルチドメグサとともに原産地で希少種になっている州もある.オーストラリア,アフリカなどに野生化

 

原産地での生態

湿った土手や水際の地面を茎が匍匐し,数センチから40cmの長さの葉柄を伸ばして直径2-6cmの葉身を展開する.水面に茎葉が浮いた状態でも生育するが,逆に水辺の石垣や岩上に生えることもできる.止水(湿地や池)のほか流水の岸にも生育する.

 

情報源

アメリカ農務省植物デタベー(英語)

ミズーリ州(英語)

神奈川県植物誌2001

現況(神奈川県周辺)

河川長8kmセグメントによる集計.背景地図は国土地理院長の承認を得て同院発行の数値地図200000(地図画像)横須賀,東京,静岡,甲府を複製したものである(承認番号 平21業複,第31号).

 

 

概 況

 

l  神奈川県内では南足柄市と鎌倉市の限られた地域に野生化しています.

l  南足柄市の野生化個体群は工場内の環境整備のために植えられていたものが,切藻で流出して野生化したと想像されます.この個体群が起源となって下流に向かって分布拡大して繁茂する可能性があります.なお平行する河川への侵入は現時点では見られていません.

l  ウォーターマッシュルームとして現在でも販売されているため,今後も新たな野生化が起きると予想されます.

 

 

 

注意・警戒すべきこと

 

l  水辺の生態系を改変する可能性があります.在来のチドメグサ類より大形のため,河川の州のクサヨシ群集の下層や,草刈りされる土手で他の植物と混在して生存し,水域に茎を伸ばして水際で優占することがあります.このようなハビタットは,日本ではごく普通にみられます.

l  水田雑草になる可能性があります.上記の通り畦畔に生育し,ウキシバ,アシカキ,キシュウスズメノヒエなどと同様に水田内に侵入して行く可能性があります.

l  自然を豊かにするためのビオトープ用の植物として植栽すると,野生化して被害をもたらすと思われるため,この植物の販売を取りやめることが望ましいと考えられます.

l  河川の州に繁茂してしまった場合は,この植物だけを匍匐茎も含めて手作業で完全に取り除くことは難しいと予想され,また河川水流中で除草剤を使用することはできないため,土砂の除去や埋土などによって他の生物とともに生育地をいったん破壊して根絶し,再び生育地を造成しなおすことになるのかもしれません.

 

 

 

調査のお願いとデータ共有

l  身近な未調査地域での調査を行って頂ければ大歓迎です.セグメント調査を行って頂いた場合は調査票にて報告をお願いします.<セグメント調方法> <セグメント調票>

l  セグメント設定地域外(神奈川県外も)で発見された場合も,報告して頂ければ感謝します.<yoho@vege1.kan.ynu.ac.jp

l  これまでに報告されている調査データをダウンロードできます.<セグメント調査データ> <地点データ>

 

 

掲載日:2009430日 

分布データ: 

神奈川県植物誌2001

小池・柴宮 未発表

概況,注意・警戒事項,種特性の記載者: 小池

 

 

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