第12回 中海・本庄工区月例勉強会

−お料理講習会−

中海のすずき料理を食卓に

澤江典子・稲葉豊子 (松江友の会)

日時:1997年6月13日金曜日 午後5時より
場所:島根大学教育学部調理実習室




 スズキは中海で豊富にとれるおいしい魚で,毎日の食卓にお刺し身からお惣菜まで幅広いお料理に使えます.またハーブ類との相性も良さそうです. ここでは普通に家庭でつくることができるスズキ料理を中心に,伝統的なものもあわせて紹介します.

 洋風の「しぐれ焼き」や「レモンソースかけ」などは普段のおかずに,「木の芽みそ焼き」や「松鼠魚」,「レモンのはさみ焼き」は冷酒や白ワインとあうので夏のパーティーにも使えそうです.「奉書焼」は熱燗を片手にじっくり楽しむのが良いかもしれません.

 スズキは梅雨頃から秋までが旬で,成長するにしたがってセイゴからチュウハン,スズキへと呼び名が変わります.ここでは値段も庶民的で日常的に家庭で購入しやすいセイゴを主に使いました.また,いまたくさん取れているマーカレ(ママカリ)の背ごしも紹介します.

 日本でいちばん大きな汽水域の幸をお楽しみください.


  1. お刺身
  2. お刺身のサラダ
  3. 魚の酢じめ
  4. 奉書焼き
  5. レモンのはさみ焼き
  6. 木の芽みそ焼き
  7. 松鼠魚(すんしゅうゆい)
  8. しぐれ焼き
  9. 魚のレモンソースかけ
  10. あらを使ったうしお汁
  11. マーカレの背ごし
  12. 付録:鮮魚店・料理店のリスト






お刺身


<材料>
 すずき,ダイコン,青シソ,茗荷(みょうが)
<作り方>

  1. 魚を3枚におろし,皮をひいてお刺し身にする.







お刺身のサラダ


<材料>
 お刺身
 レタス,にんじん,ピーマン,タマネギ,シソ,などのサラダ用の季節の野菜
 家庭ソース(醤油を酢とみりんでわったもの.注を参照)
 ごま油,酢少々,すりごま
<作り方>

  1. 家庭ソースに,ごま油,酢少々,すりごまを加えてアレンジする.
  2. これにお刺身をつけ,数分おく.
  3. 野菜サラダの上にお刺身を載せ,薬味としてシソをちらす.






魚の酢じめ


<材料>
 魚1尾(約600g)
 塩 大ヒ1
 酢 1/2C
<作り方>
  1. 3枚におろした片身に強い塩をして2〜3時間置く。
  2. 2枚の片身が丁度収まるバットを選ぴ、酢を加えて1〜2時間しめる。途中で上下を返す。






奉書焼き


<材料>
 1Kgくらいのすずき(せいご)1尾
 塩(魚の2〜3%)
 酒 少々
 和紙(化学繊維が入っていないもの),竹の皮(結ぶひもとして)
 大根おろし,生姜,葱などの薬味
 家庭ソース(醤油を酢とみりんでわったもの.注を参照)
<作り方>

  1. 魚は鱗を取り,内臓を出して洗う.

  2. 火の通りを均一にするために,何本か斜めに包丁を入れても良い.
  3. 魚の2〜3%の塩をして、お酒を振りかけしばらく置く。
  4. 和紙で形よく包んで縛る.紙は5重程度でよい.水に浸けて柔らかくした幅1cmくらいの竹の皮のひもで両端を結ぶ.お酒を振りかけて和紙を湿らせる.

  5. オーブンで焼く.温度は180度くらいで始めて,後からは150度くらい.30分から40分かかる.うまく火が通らないときは最後に電子レンジへ.
  6. 家庭ソースに紅葉おろし,おろし生姜,葱を加えていただく.






レモンのはさみ焼き


<材料>
 すずき(せいご)1尾
 塩(魚の2〜3%)
 酒 少々
 レモン
 ベーコン
<作り方>

  1. 魚は鱗を取り,内臓を出して洗う.
  2. 魚のうら・表に,2〜3cmおきに斜めに包丁を入れる.
  3. 魚の2〜3%の塩をして、お酒を振りかけしばらく置く。
  4. スライスしたレモンと,ベーコンを魚のうら・表両方の切口にはさむ.
  5. オーブンで焼く.
  6. 好みのソースでいただく.






木の芽みそ焼き


<材料>
 せいご 4尾
 塩(魚の1%)
 木の芽みそ
   木の芽 10g
   砂糖 大ヒ1
   みりん 大ヒ1
   うす口醤油 小ヒ1/2
   白味噌 60g
<作り方>

  1. 魚は鱗を取り,内臓を出して洗う.
  2. 魚のうら・表に,2〜3cmおきに斜めに包丁を入れる.
  3. 魚の2〜3%の塩をして、お酒を振りかける。
  4. 姿のまま焼くか、3枚におろしてムニエルにしてもよい.
  5. 木の芽みそは材料の順にすり鉢でよくすりながら最後に白みそを加えて仕上げる。
      *多めに作って冷凍しておくといつまででも置ける。
  6. 焼いた魚を木の芽みそで食べる。






松鼠魚(すんしゅうゆい)


<材料>
 魚 中2尾
 塩 小ヒ1/2、酒 大ヒ1.5
 くずあん
   煮出し汁 1C
   醤油  大ヒ2
   片栗粉 大ヒ2
 ネギ 1本
<作り方>

  1. 魚は腹を開け中骨を取り,背開きにする.
  2. 塩、酒を振りかけ約20分置く。
  3. 2に片栗粉を付けて、たずな風にして油で揚げる。(たずな風は,背開きした魚の尻尾をくるっと通しておなかの切れ目から出す.立体的な形になって見ためのボリューム感が増し,火のとおりも良くなる.)
  4. くずあんは,だし汁に調味料を加え,水とき片栗粉でとろみをつける.
  5. さらしねぎは,ねぎの白い部分を長さ5cmくらいに切り,それを縦に細く切って水にさらしておく.
  6. 揚げたての熱い魚にくずあんをかけ、さらしネギを上に散らして熱々のうちに食べる.






しぐれ焼き


<材料>
 すずき(せいご) 小4尾
 タマネギ 100g
 セルリー  60g
 ニンジン 50g
 梅干し(赤漬け)1ヶ
 マ∃ネーズ 65g (1/3C)
 粉チーズ、パセリみじん切り少々
<作り方>

  1. 3枚におろした魚に塩(1%)・こしょうをする。
  2. タマネギ、セルリー、梅干しはみじん切り、ニンジンはすりおろして、マ∃ネーズですべて合わせておく。
  3. パイ皿に2のソースの1/3を敷き、その上に魚を並ベ、残りのソースをかけ、粉チーズを振りかける。
  4. オ一ブン(トースター)で15分(200度)焼き、パセリを散らす。






魚のレモンソースかけ


<材料>
 すずき(せいご) 中2尾
 の調味料(魚の下味)
   塩  1%
   油,ごま油  各大ヒ1
   こしょう
 卵 大1ヶ
 片栗粉
 油 大ヒ3
 の調味料(レモンソース用)
   砂糖  30g
   酢  1/4C
   塩  小ヒ1/3
   醤油,酒 各小ヒ1.5
   水  大ヒ2
 タマネギみじん切り  大ヒ2
 片栗粉 小ヒ1、水  大ヒ1
 レモン 1/4個
<作り方>

  1. 魚を3枚におろす.
  2. 魚にAの調味料で下味を付けておく。
  3. 2に片栗粉を付け、とき卵を付けて油で両面をきれいな狐色に焼く。
  4. レモンソースをつくる.Bの調味料を火にかけ,タマネギのみじん切りを入れて煮る。片栗粉の水ときでとろみをつけ、火から下ろしてレモン汁を入れる。
      *国産レモンの場合は,レモンの皮もみじん切りにして入れてもよい。
  5. 3の魚を食べよい大きさに切り、レモンソースをかける。






あらを使ったうしお汁


<材料>
 魚をおろしたときのあらや皮,なかおちなど
 葱,生姜 少々
<作り方>

  1. ”あら”や皮は塩をしてあく汁を出し,熱湯をかけ,流水で鱗などを落としよく洗う.
  2. 1に分量の水と(葱,生姜少々)をくわえ,ことこととあくをとりながら15分くらい煮て調味する(塩,うす口醤油,酒).
  3. 吸口に季節のもの(山椒,茗荷,柚子の皮など)をのせる.






マーカレ(ママカリ,標準和名サッパ)の背ごし


<材料>
 新鮮なマーカレ(中海のマーカレは「ママカリ」として岡山方面にも出荷されている)
 三杯酢
 茗荷,胡瓜,うど,あおじそなどの季節のもの
<作り方>

  1. マーカレの頭とわたをとる.

  2. 冷凍して切りやすくする.
  3. 凍ったものを取り出し,頭のほうから骨ごと細かく輪切りにする.細かく切ると骨ごと食べられる.

  4. 三杯酢につけて10分余りおいて,茗荷,胡瓜,うど,あおじそなどと共に頂くと猶美味しい.
      *骨のまわりに脂がのっていて,非常においしい.






注:

小ヒ,中ヒ,大ヒ  計量スプーンのそれぞれ小,中,大の略

C  計量カップの略



家庭ソース:

<材料>
 醤油 1 C
 酢 1/2C
 酒、みりん 各1/4C
<作り方>
 調味料を全部会わせ、ソース瓶に入れて使う。これをベースにゴマ油、白ゴマ、マヨネーズなどを適宜加えれば、和・洋・中華風お好みに合わせたソースにできる。



参考書:

荒木英之 1994. 松江食べ物語.山陰中央新報社,松江市.
味の旅.イーゼル社,東京.











付録

汽水産魚介類を扱う鮮魚店・料理店のリスト

 
 全国ブランド化した宍道湖産のシジミはス−パ−でも買うことができますが、その他汽水産魚介類は魚屋さんでもなかなか見かけません。具体的には実態はどうなのかといった疑問から、先日、我々は松江市内の52店舗の鮮魚店に直接、電話インタビュ−を行ない、汽水産魚介類の取り扱い状況を調べました。その結果、汽水産魚介類を全般的に扱っている店11店舗、シジミの他数品目を扱っている店4店舗、シジミのみを扱っている店9店舗、その他28でした。
 以下は、汽水産魚介類を全般的に品揃えしている鮮魚店のリストと調査時の品揃え品目を掲載しております。なお、輸入水産物と異なり、季節、漁の状況によって品物は変わることをご承知置き下さい。併せて、中海・宍道湖産の魚介類が食べれる料理店についても掲載しておりますが、限られた情報収集能力のため調査漏れの店も当然あるかと思います。その点はご容赦ください。最後に電話調査に際しまして関係者の皆様にご協力いただきましたこと、お礼申し上げます。

 
伊藤康宏
島根大学生物資源科学部漁村経済論研究室
TEL/FAX0852-32-6535
itoyasu@life.shimane-u.ac.jp

 
 


鮮魚店リスト

(あいうえお順、1997年6月16日現在の品揃え、市外局番0852)

 
 
 
石川屋(石橋町3、21−6394)
シジミ、オダエビ

 
魚清(伊勢宮町535、21−4914)
エノハ、テナガエビ、モロゲエビ、チュ−ハン、アオテガニ(これから)、ウナギ(日による)

 
魚富(灘町45−2、21−3313)
シジミ、スズキ、モロゲエビ、テナガエビ、オダエビ

 
金津鮮魚店(寺町99−55、21−0713)
スズキ、テナガエビ、シジミ、クルマエビ、モロゲエビ、シラウオ(冷凍でも)

 
島谷魚店(灘町219、21−4634
オダエビ、テナガエビ、チュ−ハン、コマゴズ、ウナギ、(コノシロ)

 
田中屋鮮魚店(西茶町25、25−4770)
シジミ、スズキ(チュ−ハン)、テナガエビ

 
坪倉鮮魚店(本庄町77、34−0528)
セイゴ、ママカレ、テナガエビ、モロゲエビ、車エビ、ウナギ

 
福水(東本町1−51、21−5500)
スズキ、テナガエビ、シジミ、モロゲエビ、ウナギ(たまに)、オダエビ(たまに)

 
福間鮮魚店(末次町27−1、22−7913)
テナガエビ、ウナギ、シジミ

 
三代鮮魚店(本庄町55、34−0506)
ママカリ、オダエビ、セイゴ、スズキ、ゴリ、ソイ、クルマエビ、コノシロ







料理店リスト

(あいうえお順、1997年6月16日現在の旬のおすすめ料理)

 
 
かねやす食堂(松江市御手船場、0852−21−0550)
オダエビの佃煮、クルマエビの塩焼き、モロゲエビの天ぷら・唐揚げ

 
だいこく(松江市片原町110、0852−27−7233)
ウナギの蒲焼き、テエナガエビ

 
川京郷土料理(松江市末次本町65、0852−22−1312)
ウナギのタタキ、スズキの奉書焼き

 
てれすこ郷土料理(松江市伊勢宮町528、0852−24−2288)
スズキの洗い、モロゲエビの塩焼き

 
大西寿司(八束郡八束町入江271、0852−76−2371)
中海の旬の物(今はアオテガニ、モロゲエビ、スズキ、アカニシ)寿司ネタに

 
おなじみ屋(米子市東倉吉町123−2、0859−22−9575)
和食おまかせ料理、とくにウナギは本庄産使用、要予約