野生イノシシ個体群の豚コレラ

 

英名: Swine fever, Classical swine fever

病原体: Classical swine fever virus

原産地・生態:  北アメリカやオーストラリアなどを除く世界各地に分布
家畜の豚(イノシシと同種)と共通の感染症でヒトには感染しない.イノシシどうしの接触がなくてもウイルスが付着したものから感染が拡大する.
 野生イノシシは温暖地の森林と農村・都市の中間的な地域で密度が高く,東北地方北部では絶滅していたが,最近になって再び分布拡大し,現時点で北海道を除く全都道府県に生息する.

 

情報源

農水省: 家畜ブタの豚コレラ

http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/

環境省: 野生イノシシの分布

https://www.env.go.jp/press/files/jp/26915.pdf

ロードキルによるイノシシなどの密度分布

 

将来予測

 

 

色の濃いところで早くから侵入すると予測された.相対的な侵入時期の早さのみを予測し,侵入年は予測していない.

 

過去の多くの外来種の分布拡大データからパターンが類似したものを合成している.海外などからの貨物の移動による長距離移動と,国内の貨物による移動,近隣への自然な分布拡大をともに含む.

 

野生イノシシが生息しない北海道を除く地域を予測対象とする.

 

 

 

201926日の予測.赤文字は既侵入

都道府県

予測
(相対値)

都道府県

予測
(相対値)

都道府県

予測
(相対値)

愛知

0.0

山梨

37.0

富山

61.0

静岡

3.7

東京

37.5

山口

63.8

岐阜

7.7

福井

39.1

宮崎

68.0

滋賀

9.3

群馬

40.6

佐賀

72.7

大阪

15.5

徳島

41.1

大分

72.7

千葉

18.3

広島

42.1

鳥取

74.2

三重

21.6

宮城

45.9

島根

75.5

埼玉

23.8

福岡

46.4

青森

78.7

神奈

24.0

福島

47.0

鹿児

80.6

長野

25.1

岩手

51.9

香川

81.0

奈良

27.5

新潟

52.9

熊本

82.3

兵庫

29.9

山形

53.5

長崎

84.9

栃木

30.1

高知

56.9

秋田

88.4

茨城

31.7

愛媛

57.2

沖縄

100

京都

32.9

岡山

58.3

北海

宿主不在

和歌

33.4

石川

59.6

 

 

 

 

 

概 況

 

1.岐阜県で広域に分布しており,隣接した愛知県でも発見された.

2.イノシシの行動に伴って分布拡大しており,国内で付着物などによる長距離の分布拡大は報告されていない.ただし家畜ブタの移送により近県の養豚場内での感染が見られた.

 

 

 

注意・警戒すべきこと

 

1.現在の分布域の周辺で,ノシシの行動に伴う分布拡大への対策が必要である.

 

2.現在の分布域の周辺で,人間による汚染物の持ち運びによる分布拡大を警戒する必要がある.家畜ブタの移送による近県への感染拡大では,養豚場外の野生イノシシ個体群への感染を避けなければならない.

 

3.現在は分布していない地域であっても,海外や国内の物資の移動等による長距離分布拡大に注意が必要である.分布予測をみると,東海地域全体のほか阪神地域,南関東などでも長距離分布拡大に対応した死亡野生個体のモニタリングを行っても良いかもしれない.

 

掲載日:201926

 

計算方法: 

・これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンが野生イノシシの豚コレラに類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGISの応用プログラム「外来生物侵入順序解析」を使用した.詳細はKoike & Morimoto 2018参照.

予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者:  小池文人(横浜国大),既分布の外来生物の分布拡大データは森本信生(畜産草地研究所),および昆虫情報処理研究会のゴケグモ類の情報センター,厚生労働省による過去の新型インフルエンザ情報(過去のまとめ検証用),環境省のヒアリに関する諸情報についてなどによる.

 

 

イノシシの豚インフルエンザに関する最近の分布状況のまとめ

農水省:http://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/csf/

 

 

文献:

Koike, F. and Morimoto, N. 2018. Supervised forecasting of the range expansion of novel non-indigenous organisms: alien pest organisms and the 2009 H1N1 flu pandemic. Global Ecology and Biogeography. https://doi.org/10.1111/geb.12754

Tatewaki, T. and Koike, F. 2018. Synoptic scale mammal density index map based on roadkill records. Ecological Indicators 85: 468-478. https://doi.org/10.1016/j.ecolind.2017.10.056

 

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