セアカゴケグモ
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英名: Redback spider 学名: Latrodectus hasseltii 原産地: オーストラリア
原産地での生態 人家周辺などの乾燥した環境に多い.温度耐性は0度から40度まで(適温22〜37度).3ヶ月(オス)から4ヶ月(メス)で成体となる.オスの寿命は半年ほどだがメスの寿命は2〜3年.いったん交尾すると2年程度は単独で産卵できる.自然の分布拡大のほかに,貨物や自動車などで運ばれる.幼体が糸を使って風で飛ぶバルーニング分散はあまり行わないといわれる. 神経毒を持ちヒトの死亡例は極めて稀だが痛みが長引く(Latrodectism).原産地のオーストラリアでは抗毒素の利用が最も多い咬傷で,ハビタットが就学前の子どもの活動域と重なるため幼児の被害が多い.同様のハビタットで活動する飼いネコに対する咬傷では,ネコが死亡するケースもあるとのこと.
情報源 Wikipedia: Redback spider(英語) Latrodectism(英語)
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将来予測
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色の濃いところで早くから侵入する.
乾燥して温暖な気候を好むとされるが,この予測では気候的な分布の限界を考慮していない.温度耐性から分布域は照葉樹林域以南に限られる可能性があるが,日本海側にも分布可能かは不明.
都道府県において発見される予測時期の誤差(標準偏差)は6年1ヶ月.
全体的な分布拡大速度は比較的遅い.物資に付着して運ばれるが,これによる遠距離の飛び火的な分布拡大と,自然の分布拡大とを行う.
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都道府県 |
2013年3月現在の分布 |
発見時期の予測 |
予測の幅 |
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(予測±標準偏差) |
北海道 |
未分布 |
2032年 |
2026年 |
〜 |
2038年 |
青森 |
未分布 |
2033年 |
2027年 |
〜 |
2039年 |
岩手 |
未分布(2013年6月24日) |
2027年 |
2021年 |
〜 |
2033年 |
宮城 |
2011年9月4日 |
2019年 |
2012年 |
〜 |
2025年 |
秋田 |
未分布 |
2030年 |
2024年 |
〜 |
2036年 |
山形 |
未分布 |
2027年 |
2021年 |
〜 |
2033年 |
福島 |
未分布(2013年9月3日) |
2020年 |
2014年 |
〜 |
2026年 |
茨城 |
2013年1月23日 |
2019年 |
2013年 |
〜 |
2025年 |
栃木 |
未分布 |
2021年 |
2015年 |
〜 |
2027年 |
群馬 |
2005年8月16日 |
2017年 |
2011年 |
〜 |
2023年 |
埼玉 |
未分布(2014年7月29日) |
2017年 |
2011年 |
〜 |
2023年 |
千葉 |
未分布(2013年9月2日) |
2012年 |
2006年 |
〜 |
2018年 |
東京 |
未分布(2014年9月24日) |
2014年 |
2008年 |
〜 |
2020年 |
神奈川 |
2012年9月20日 |
2010年 |
2004年 |
〜 |
2016年 |
山梨 |
未分布 |
2021年 |
2015年 |
〜 |
2027年 |
長野 |
未分布 |
2020年 |
2014年 |
〜 |
2026年 |
静岡 |
未分布(2013年9月26日) |
2009年 |
2003年 |
〜 |
2015年 |
新潟 |
未分布 |
2025年 |
2019年 |
〜 |
2031年 |
富山 |
未分布 |
2020年 |
2014年 |
〜 |
2026年 |
石川 |
未分布(2014年7月19日) |
2021年 |
2015年 |
〜 |
2027年 |
福井 |
未分布(2014年7月25日) |
2015年 |
2009年 |
〜 |
2021年 |
岐阜 |
2008年6月9日 |
2010年 |
2004年 |
〜 |
2016年 |
愛知 |
2005年8月19日 |
2006年 |
1999年 |
〜 |
2012年 |
三重 |
1995年11月27日 |
2007年 |
2000年 |
〜 |
2013年 |
滋賀 |
2005年10月19日 |
2005年 |
1998年 |
〜 |
2011年 |
京都 |
2005年10月10日 |
2002年 |
1996年 |
〜 |
2008年 |
大阪 |
1995年12月11日 |
2001年 |
1995年 |
〜 |
2007年 |
兵庫 |
1997年9月30日 |
1997年 |
1991年 |
〜 |
2003年 |
奈良 |
2003年8月3日 |
2003年 |
1997年 |
〜 |
2009年 |
和歌山 |
1996年11月5日 |
2003年 |
1997年 |
〜 |
2009年 |
鳥取 |
未分布(2013年9月6日) |
2011年 |
2005年 |
〜 |
2017年 |
島根 |
未分布 |
2011年 |
2005年 |
〜 |
2017年 |
岡山 |
2008年4月25日 |
2002年 |
1996年 |
〜 |
2008年 |
広島 |
2012年9月11日 |
2004年 |
1998年 |
〜 |
2010年 |
山口 |
2005年4月15日 |
2004年 |
1998年 |
〜 |
2010年 |
徳島 |
2010年7月18日 |
2001年 |
1995年 |
〜 |
2008年 |
香川 |
2009年9月16日 |
2000年 |
1994年 |
〜 |
2006年 |
愛媛 |
未分布(2014年1月25日) |
2006年 |
2000年 |
〜 |
2012年 |
高知 |
2011年9月22日 |
2007年 |
2001年 |
〜 |
2013年 |
福岡 |
2007年10月30日 |
2001年 |
1995年 |
〜 |
2007年 |
佐賀 |
2010年2月24日 |
2004年 |
1998年 |
〜 |
2010年 |
長崎 |
未分布 |
2010年 |
2004年 |
〜 |
2016年 |
熊本 |
未分布(2013年8月17日) |
2008年 |
2002年 |
〜 |
2014年 |
大分 |
未分布 |
2006年 |
2000年 |
〜 |
2012年 |
宮崎 |
2009年6月23日 |
2010年 |
2004年 |
〜 |
2016年 |
鹿児島 |
2008年8月15日 |
2004年 |
1998年 |
〜 |
2010年 |
沖縄 |
1995年12月6日 |
2002年 |
1995年 |
〜 |
2008年 |
(括弧内は予測後に発見されたもの.2014年9月27日現在)
概 況
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現在は西日本に多い.愛知県から大阪府にかけての地域と(岐阜,愛知,三重,滋賀,京都,大阪,兵庫,奈良),香川県,福岡県で広く蔓延している.
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神奈川県など関東でも発見され始めている.都道府県レベルで初めての個体群が発見されていても,面的に分布するまでには時間がかかる.
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全体的な分布拡大速度は,比較的ゆっくりしている.
注意・警戒すべきこと
l 分布拡大が遅いため,個体群の制御が比較的容易である可能性がある.いま分布拡大中の地域では,早期発見・早期防除により飛び火状に侵入した個体群を根絶させ,分布拡大を大幅に遅らせることが可能となる可能性がある.
l 分布拡大の予測から,愛媛県や大分県では,今すぐに発見されても不思議ではない.
静岡県,千葉県,長崎県,熊本県でも今後数年以内に発見される可能性が高い. 鳥取県,島根県でも気候が生息可能な範囲内であれば,数年以内に発見される可能性が高い.(予測後に静岡県,千葉県,熊本県,鳥取県,愛媛県で発見された.2013年12月24日現在)
今後15年以内に照葉樹林域の太平洋・瀬戸内側の全ての県で発見される可能性が高い.面的に分布可能な北限については検討が必要である.
掲載日:2012年3月15日,2014年9月27日追加情報
分布データ: 昆虫情報処理研究会 ゴケグモ類の情報センター
Vink C., Derraik JGB, Phillips CB, Sirvid PJ. 2011. The invasive Australian redback spider, Latrodectus hasseltii Thorell 1870 (Araneae: Theridiidae): current and potential distributions, and likely impacts. Biological Invasions 13: 1003-1019
計算方法:
・付着して運ばれる物資の流れがわからないため,これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンが類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGIS」を使用した.
予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者: 小池文人(横浜国大),害虫データベースからのデータ抽出: 森本信生(畜産草地研究所)