ヒアリ

英名: fire ant, red imported fire antなど

学名: Solenopsis invicta

原産地:  南アメリカ原産
北アメリカ,中国南部などに野生化,アジア太平洋地域でも発見されている.野生化が可能な北限はおよそ常緑広葉樹の分布域と一致している.

 

生態

 芝生などに土壌が出たかたちの巣をつくる小型のアリ.毒針で刺されると死亡することがある.野生化した場合は芝生の上に普通にみられるようになる可能性がある.

 

情報源

環境省: ストップ・ザ・ヒアリ

https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf

 

Wikipedia: 様々な情報Red imported fire ant

https://en.wikipedia.org/wiki/Red_imported_fire_ant

 

USDA: アメリカでの気候による潜在的分布域

 

 

将来予測

 

 

野生化コロニーの分布拡大予測.色の濃いところで早くから侵入すると予測された.相対的な侵入時期の早さのみを予測し,侵入年は予測していない.

 

過去の多くの外来種の分布拡大データからパターンが類似したものを合成している.海外などからの貨物の移動による長距離移動と,国内の貨物による移動,近隣への自然な分布拡大をともに含む.

 

この予測では気候的な分布の限界は考慮していない.ただしアメリカ合衆国の予測では北限はほぼ常緑広葉樹の分布域に相当するが,北西部のシアトルでも生息の可能性があるとのこと.

 

 

 

2017810日に予測した侵入時期) 赤文字は既分布

野生化コロニー

 

個体や集団の発見

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

大阪

0

群馬

32

沖縄

58

大阪

0

長野

35

香川

60

神奈

0

福岡

32

山口

59

千葉

3

新潟

40

長崎

60

千葉

0

岩手

36

徳島

62

兵庫

3

和歌

40

徳島

61

愛知

4

京都

38

香川

63

愛知

4

愛媛

41

石川

66

東京

6

滋賀

42

福井

64

神奈

8

沖縄

42

佐賀

67

兵庫

9

新潟

44

宮崎

64

東京

9

群馬

44

秋田

69

埼玉

11

愛媛

44

山形

67

福岡

20

岩手

44

宮城

76

茨城

20

岐阜

49

島根

71

静岡

21

山口

46

福井

79

栃木

22

秋田

49

長崎

71

埼玉

22

宮崎

48

島根

81

静岡

23

山梨

49

高知

72

栃木

28

滋賀

48

富山

83

長野

23

宮城

53

富山

77

北海

28

福島

49

鹿児

85

三重

26

石川

53

佐賀

81

茨城

28

岐阜

50

青森

86

大分

28

奈良

54

鳥取

88

大分

29

奈良

52

山形

86

広島

29

和歌

54

熊本

96

京都

30

高知

57

鳥取

93

北海

29

岡山

56

鹿児

100

広島

31

山梨

59

熊本

100

福島

31

青森

57

 

 

三重

34

岡山

59

 

 

 

 

過去の予測

 

 

 

概 況

 

1.大阪府と神奈川県で野生化コロニーが発見されたほか,近畿,関東,中京,北九州などの大都市圏の港湾や周辺の貨物搬入先などで発見されている.

2.現在のところ日本での物資への混入も含めた総合的な分布拡大速度や,気候的な分布の北限は不明であるが,外来種として大規模な対策が取られたアメリカ合衆国では詳細な研究が行われている.

 

 

 

注意・警戒すべきこと

 

1.海外から新たに持ち込まれる個体に関しては,大都市圏を中心としてその他の港湾等のある都府県や未発見の千葉県に加えて,貨物やコンテナ等の搬入先である周辺地域の埼玉県,静岡県,栃木県,茨城県,広島県,北海道(野生化困難?),京都府などにおいても,主要な港湾より頻度は高くないが発見される可能性がある.
 継続的な努力による早期発見・早期防除により,飛び火状に侵入した個体群を根絶させ,分布拡大を遅らせることが重要である.台湾にはアメリカから複数回侵入していることが明らかになっており(Ascunce et al 2011),アジアやアメリカからの新たな侵入が継続することが予想される.

 

2.コンテナなどの上で女王アリや羽アリを含む集団が見つかっており,物資の移動により港湾以外にも分散している可能性がある.

 

3.野生化コロニーに関しては,これまでに発見された大阪府や神奈川県のほか,千葉県や愛知県,東京都,兵庫県などでも発見される可能性がある.探索努力をかけるなどの警戒が望ましい.

 

4.港湾以外での探索には市民による発見が不可欠となるため,各市区町村に1名ずつヒアリの同定が可能な自治体職員を養成・配置し,住民からの同定要請に応え,地域の分布状況を継続的に把握しながら広域で情報を共有するような体制の構築が必要かもしれない.

 

 

掲載日:2017810

 

計算方法: 

・これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンがヒアリに類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGISを使用した.

予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者:  小池文人(横浜国大),既分布の外来生物の分布拡大データは森本信生(畜産草地研究所),および昆虫情報処理研究会のゴケグモ類の情報センター,厚生労働省による過去の新型インフルエンザ情報(過去のまとめ検証用)などによる.

 

現在の分布状況のまとめ:

環境省:ヒアリに関する諸情報についてhttp://www.env.go.jp/nature/dobutsu/fireant.html

 

文献:

Ascunce, MS. et al. 2011. Global invasion history of the fire ant Solenopsis invicta. Science 331: 1066-1068. DOI: 10.1126/science.1198734

Korzukhin, MD. 2001. Modeling Temperature-Dependent Range Limits for the Fire Ant Solenopsis invicta (Hymenoptera: Formicidae) in the United States. Environmental Entomology 30: 645-655.

 

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