ヒアリ

英名: fire ant, red imported fire antなど

学名: Solenopsis invicta

原産地:  南アメリカ原産
北アメリカ,中国南部などに野生化,アジア太平洋地域でも発見されている.野生化が可能な北限はおよそ常緑広葉樹の分布域と一致している.

 

生態

 芝生などに土壌が出たかたちの巣をつくる小型のアリ.毒針で刺されると死亡することがある.野生化した場合は芝生の上に普通にみられるようになる可能性がある.

 

情報源

環境省: ストップ・ザ・ヒアリ

https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_fireant.pdf

 

Wikipedia: 様々な情報Red imported fire ant

https://en.wikipedia.org/wiki/Red_imported_fire_ant

 

USDA: アメリカでの気候による潜在的分布域

 

 

将来予測

 

 

野生化コロニーの分布拡大予測.色の濃いところで早くから侵入すると予測された.相対的な侵入時期の早さのみを予測し,侵入年は予測していない.

 

過去の多くの外来種の分布拡大データからパターンが類似したものを合成している.海外などからの貨物の移動による長距離移動と,国内の貨物による移動,近隣への自然な分布拡大をともに含む.

 

この予測では気候的な分布の限界は考慮していない.ただしアメリカ合衆国の予測では北限はほぼ常緑広葉樹林の分布域に相当する.

 

 

 

2018828日に予測した侵入時期) 赤文字は既分布

現在も存続している野生化コロニー

 

野生化コロニーの発見

 

個体や集団の発見

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

 

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

 

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

大阪

0

長野

35

長崎

61

 

大阪

0

長野

35

長崎

61

 

千葉

0

和歌

37

長崎

58

千葉

2

和歌

37

岡山

64

 

千葉

2

和歌

37

岡山

64

 

大阪

0

愛媛

39

山梨

64

愛知

3

愛媛

37

佐賀

65

 

愛知

3

愛媛

37

佐賀

65

 

兵庫

3

三重

40

岡山

64

兵庫

6

岐阜

40

山梨

66

 

兵庫

6

岐阜

40

山梨

66

 

愛知

4

新潟

41

佐賀

66

神奈

9

沖縄

41

石川

75

 

神奈

9

沖縄

41

石川

75

 

東京

11

宮崎

42

石川

71

静岡

13

宮崎

44

秋田

77

 

静岡

13

宮崎

44

秋田

77

 

神奈

11

沖縄

42

秋田

74

福岡

14

滋賀

46

福井

80

 

福岡

14

滋賀

46

福井

80

 

福岡

15

岐阜

44

福井

80

東京

15

新潟

47

島根

82

 

東京

15

新潟

47

島根

82

 

静岡

16

岩手

45

島根

81

埼玉

24

山口

47

宮城

83

 

埼玉

24

山口

47

宮城

83

 

埼玉

23

山口

45

宮城

83

広島

24

岩手

49

鹿児

86

 

広島

24

岩手

49

鹿児

86

 

京都

26

滋賀

46

鹿児

84

大分

29

奈良

49

青森

92

 

大分

29

奈良

49

青森

92

 

広島

26

群馬

49

富山

89

茨城

30

福島

52

山形

94

 

茨城

30

福島

52

山形

94

 

北海

27

奈良

49

青森

90

栃木

30

群馬

52

富山

94

 

栃木

30

群馬

52

富山

94

 

栃木

27

福島

53

山形

93

京都

30

高知

52

鳥取

96

 

京都

30

高知

52

鳥取

96

 

大分

28

香川

55

鳥取

93

三重

31

香川

53

熊本

100

 

三重

31

香川

53

熊本

100

 

茨城

29

高知

55

熊本

100

北海

34

徳島

54

 

 

 

北海

34

徳島

54

 

 

 

長野

35

徳島

56

 

 

 

個体や集団の発見

・生存する個体や屋外で生存していたと思われる個体が発見された場合

 

野生化コロニー発見

・地面に卵や幼虫を含むコロニーがあった場合

・トラップや目視調査により同一地点で複数回の確認があった場合は初回を侵入時期とする

 

現在も存続している野生化コロニー

・野生化コロニーが現在も確認され続けている場合

 

過去の予測

 

 

 

概 況

 

1.全国数カ所で野生化コロニーが発見されたほか,九州北部から関東に至る太平洋ベルトのメガロポリスにおける港湾や,港湾から離れた周辺の県における貨物搬入先などで個体が発見されている.

2.国内で野生化したコロニーから,さらに二次的に分布拡大したケースは知られていないが,複数の地点で野生化が起きたと考えられる.

 

3.現在のところ日本での物資への混入も含めた総合的な分布拡大速度や,気候的な分布の北限は不明である.アメリカ合衆国では1933年-1945年頃に南東部に侵入し大規模な対策がとられたが,ゆっくり分布拡大中であり1998年には西海岸のカリフォルニアに侵入した.

 

4.日本においても今後100年を超える時間スケールで防疫活動を継続することになると考えられる.海外での蔓延の進行により侵入圧が上昇してゆくと予想される.

 

 

 

注意・警戒すべきこと

 

1.海外から新たに持ち込まれる個体に関しては,太平洋ベルトのメガロポリスの港湾では継続的な発見が予想される.貨物やコンテナ等の搬入先である周辺の県などにおいても,主要な港湾より頻度は高くないが発見される可能性がある.
 継続的な努力による早期発見・早期防除により,飛び火状に侵入した個体群を根絶させ,分布拡大を遅らせることが重要である.台湾にはアメリカから複数回侵入していることが明らかになっており(Ascunce et al 2011),アジアやアメリカからの新たな侵入が継続することが予想される.
 20187月にはアメリカ発の航空貨物から発見された.探索対象を中国からの海上コンテナだけでなく,他の発送・経由地や貨物形態に広げる必要がある.

 

2.野生化コロニーに関しては,これまでに発見された地点のほか,コンテナ等からの発見件数が多い地域では探索努力をかけるなどの警戒が望ましい.

 

3.港湾以外での貨物搬入先や野生化コロニー周辺などの長期継続的な探索には市民による発見が不可欠となるため,各市区町村に1名ずつヒアリの同定が可能な自治体職員を養成・配置し,住民からの同定要請に応え,地域の分布状況を継続的に把握しながら広域で情報を共有するような体制の構築が必要かもしれない.このような体制づくりを優先的に行う地域の順位づけには,本ページのような情報を利用することができる.

 

 

掲載日:2018828

 

計算方法: 

・これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンがヒアリに類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGISの応用プログラム「外来生物侵入順序解析」を使用した.詳細はKoike & Morimoto 2018参照.

予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者:  小池文人(横浜国大),既分布の外来生物の分布拡大データは森本信生(畜産草地研究所),および昆虫情報処理研究会のゴケグモ類の情報センター,厚生労働省による過去の新型インフルエンザ情報(過去のまとめ検証用)などによる.

 

 

現在の分布状況のまとめ:

環境省:ヒアリに関する諸情報についてhttp://www.env.go.jp/nature/dobutsu/fireant.html

 

文献:

Ascunce, MS. et al. 2011. Global invasion history of the fire ant Solenopsis invicta. Science 331: 1066-1068. DOI: 10.1126/science.1198734

Koike, F. and Morimoto, N. 2018. Supervised forecasting of the range expansion of novel non-indigenous organisms: alien pest organisms and the 2009 H1N1 flu pandemic. Global Ecology and Biogeography. DOI: 10.1111/geb.12754PDF

Korzukhin, MD. 2001. Modeling Temperature-Dependent Range Limits for the Fire Ant Solenopsis invicta (Hymenoptera: Formicidae) in the United States. Environmental Entomology 30: 645-655.

 

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