ハイイロゴケグモ

 

 

英名:  Brown widow spider

学名: Latrodectus geometricus

原産地:  正確には不明.南半球のアフリカ南部か南アメリカとの説がある

 

原産地での生態

 熱帯のビル周辺など温暖地の人家周辺の乾燥した環境に多い.自然の分布拡大のほかに,貨物や自動車などで運ばれる.神経毒を持つがセアカゴケグモより危険ではないとされる.

情報源

昆虫情報処理研究会 ゴケグモ類の情報センター

国立環境研究所侵入生物データベース

Wikipedia

 

 

将来予測

 

色の濃いところで早くから侵入する.

 

乾燥して温暖な気候を好むとされるが,この予測図では気候的な分布の限界を考慮していない.セアカゴケグモより温暖地を好む可能性もある.

 

都道府県において発見される予測時期の誤差(標準偏差)は68ヶ月.

 

全体的な分布拡大速度は比較的遅い.物資に付着して運ばれるが,これによる遠距離の飛び火的な分布拡大と,自然の分布拡大とを行う.

 

 

 

都道府県

20133現在の分布

発見時期の予測

予測の幅

 

(予測±標準偏差)

北海道

未分布

2052

2045

2058

青森

未分布

2048

2042

2055

岩手

未分布

2036

2029

2043

宮城

未分布

2034

2028

2041

秋田

未分布

2041

2034

2048

山形

未分布

2037

2030

2043

福島

未分布

2027

2020

2034

茨城

未分布

2022

2016

2029

栃木

未分布

2027

2021

2034

群馬

未分布

2027

2020

2033

埼玉

未分布

2017

2011

2024

千葉

未分布

2010

2003

2017

東京

19951223

2006

2000

2013

神奈川

19951127

2002

1995

2008

山梨

未分布

2027

2020

2034

長野

未分布

2029

2022

2036

静岡

未分布

2009

2003

2016

新潟

未分布

2033

2027

2040

富山

未分布

2027

2020

2033

石川

未分布

2028

2021

2035

福井

未分布

2020

2013

2027

岐阜

未分布

2023

2017

2030

愛知

19951217

2001

1995

2008

三重

未分布

2019

2013

2026

滋賀

未分布

2016

2009

2023

京都

20061027

2008

2002

2015

大阪

19951210

2000

1993

2007

兵庫

2001615

1995

1988

2002

奈良

未分布

2012

2006

2019

和歌山

未分布

2013

2007

2020

鳥取

未分布

2019

2013

2026

島根

未分布

2024

2017

2031

岡山

20081216

1998

1991

2004

広島

未分布

2006

1999

2013

山口

1997615

1997

1990

2003

徳島

未分布

2011

2004

2017

香川

未分布

2004

1997

2010

愛媛

未分布

2010

2003

2016

高知

未分布

2005

1998

2011

福岡

1995125

1998

1991

2004

佐賀

未分布

1999

1992

2006

長崎

未分布

2003

1996

2009

熊本

未分布

2008

2002

2015

大分

未分布

1999

1992

2005

宮崎

20071030

2004

1998

2011

鹿児島

2001615

1991

1984

1998

沖縄

1995126

1993

1987

2000

 

 

 

概 況

 

l  現在は九州南部と沖縄地方に多い.沖縄県,鹿児島県,宮崎県のほか,山口県岩国基地に蔓延している.

l  京阪神や中京,首都圏などでも発見されている.

l  全体的な分布拡大速度は,比較的ゆっくりしている.

 

 

注意・警戒すべきこと

 

l  分布拡大が遅いため,個体群の制御が比較的容易である可能性がある.いま分布拡大中の地域では,早期発見・早期防除により飛び火状に侵入した個体群を根絶させ,分布拡大を大幅に遅らせることが可能となる可能性がある.

l  分布拡大の予測から,大分県,佐賀県,長崎県などの九州各県や,高知県,香川県,広島県などでは今すぐに発見されても不思議ではない.
 熊本県,愛媛県,徳島県,静岡県,千葉県では今後数年以内に発見される可能性が高い.
 気候的に生息可能であれば,今後15年以内に温暖な照葉樹林域の太平洋・瀬戸内側の多くの県で発見される可能性が高い.

 

掲載日:2012315

分布データ: 昆虫情報処理研究会 ゴケグモ類の情報センター

計算方法: 

・付着して運ばれる物資の流れがわからないため,これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンが類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGISを使用した.

予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者:  小池文人(横浜国大),害虫データベースからのデータ抽出: 森本信生(畜産草地研究所)

 

 

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