アルゼンチンアリ
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英名: Argentine ant 学名: Linepithema humile 原産地: アルゼンチン,ウルグアイ,パラグアイ,ブラジル南部のラプラタ川集水域
原産地での生態 深い巣穴をつくらず地表の石の下や粗い落ち葉の下などを利用する.疎林には侵入するがよくしげった森林には侵入しない.コロニーには女王が複数存在するため分裂したコロニーも存続できる.ひとつのコロニーを起源として分裂し世界中に野生化した場合はスーパーコロニーと呼ばれ,コロニー間での敵対がおきない.羽アリによる分散は行わず,歩行による自然の分散と荷物に付着して運ばれることなどによる分布拡大を行う. 野生化すると他のアリ類を排除する.生活での迷惑昆虫であるほか,アブラムシを保護するので栽培植物にとって有害となる.
情報源
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将来予測
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色の濃いところで早くから侵入する.
この予測図では気候的な分布の限界を考慮していないが,日本全国が分布域に入っている可能性がある. 潜在的な分布域の世界地図も作成されているが,日本の多くが不適地であるのに対してロシア沿海州やタイ国が適地とされるなど,やや一貫性がなくデータ不足や統計手法の不備による可能性もある(Roura-Pascual et al. 2004. Geographical potential of Argentine ants (Linepithema humile Mayr) in the face of global climate change. Proceedings of the Royal Society B 271: 2527-2535).
都道府県において発見される予測時期の誤差(標準偏差)は7年.
全体的な分布拡大速度は比較的遅い.物資に付着して運ばれるが,これによる遠距離の飛び火的な分布拡大と,自然の分布拡大とを行う.
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都道府県 |
2011年現在の分布 |
発見時期の予測(年) |
予測の幅 |
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(予測±標準偏差) |
北海道 |
未分布 |
2035 |
2029 |
〜 |
2043 |
青森 |
未分布 |
2042 |
2036 |
〜 |
2049 |
岩手 |
未分布 |
2028 |
2021 |
〜 |
2035 |
宮城 |
未分布 |
2025 |
2019 |
〜 |
2033 |
秋田 |
未分布 |
2034 |
2028 |
〜 |
2042 |
山形 |
未分布 |
2036 |
2029 |
〜 |
2043 |
福島 |
未分布 |
2026 |
2020 |
〜 |
2034 |
茨城 |
未分布 |
2024 |
2018 |
〜 |
2032 |
栃木 |
未分布 |
2028 |
2021 |
〜 |
2035 |
群馬 |
未分布 |
2024 |
2018 |
〜 |
2032 |
埼玉 |
未分布 |
2020 |
2013 |
〜 |
2027 |
千葉 |
未分布 |
2014 |
2008 |
〜 |
2022 |
東京 |
2010 |
2014 |
2007 |
〜 |
2021 |
神奈川 |
2007 |
2007 |
2001 |
〜 |
2015 |
山梨 |
未分布 |
2023 |
2017 |
〜 |
2031 |
長野 |
未分布 |
2022 |
2016 |
〜 |
2029 |
静岡 |
2009 |
2006 |
1999 |
〜 |
2013 |
新潟 |
未分布 |
2027 |
2021 |
〜 |
2035 |
富山 |
未分布 |
2027 |
2021 |
〜 |
2035 |
石川 |
未分布 |
2029 |
2023 |
〜 |
2037 |
福井 |
未分布 |
2020 |
2014 |
〜 |
2028 |
岐阜 |
2007 |
2010 |
2004 |
〜 |
2018 |
愛知 |
2006 |
2002 |
1996 |
〜 |
2010 |
三重 |
未分布 |
2008 |
2002 |
〜 |
2016 |
滋賀 |
未分布 |
2003 |
1996 |
〜 |
2010 |
京都 |
2008 |
2000 |
1993 |
〜 |
2007 |
大阪 |
2007 |
1998 |
1992 |
〜 |
2006 |
兵庫 |
1999 |
1996 |
1989 |
〜 |
2003 |
奈良 |
未分布 |
2007 |
2000 |
〜 |
2014 |
和歌山 |
未分布 |
2005 |
1999 |
〜 |
2012 |
鳥取 |
未分布 |
2020 |
2013 |
〜 |
2027 |
島根 |
未分布 |
2024 |
2018 |
〜 |
2032 |
岡山 |
未分布* |
2008 |
2002 |
〜 |
2016 |
広島 |
1993 |
2008 |
2001 |
〜 |
2015 |
山口 |
2001 |
2006 |
2000 |
〜 |
2014 |
徳島 |
2010 |
2004 |
1998 |
〜 |
2012 |
香川 |
未分布 |
2010 |
2004 |
〜 |
2018 |
愛媛 |
未分布 |
2014 |
2008 |
〜 |
2022 |
高知 |
未分布 |
2017 |
2011 |
〜 |
2024 |
福岡 |
未分布 |
2005 |
1999 |
〜 |
2013 |
佐賀 |
未分布 |
2017 |
2010 |
〜 |
2024 |
長崎 |
未分布 |
2023 |
2017 |
〜 |
2031 |
熊本 |
未分布 |
2022 |
2016 |
〜 |
2030 |
大分 |
未分布 |
2020 |
2014 |
〜 |
2028 |
宮崎 |
未分布 |
2019 |
2012 |
〜 |
2026 |
鹿児島 |
未分布 |
2012 |
2005 |
〜 |
2019 |
沖縄 |
未分布 |
2016 |
2010 |
〜 |
2024 |
*岡山県では2012年に野生化が確認された.
概 況
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現在は瀬戸内,近畿,中京,首都圏の市街地や埋め立て地に野生化している.
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全体的な分布拡大速度は,比較的ゆっくりしている.
注意・警戒すべきこと
l 分布拡大が遅いため,個体群の制御が比較的容易である可能性がある.いま分布拡大中の地域では,早期発見・早期防除により飛び火状に侵入した個体群を根絶させ,分布拡大を大幅に遅らせることが可能となる可能性がある.
l 分布拡大の予測から,福岡県,和歌山県,滋賀県では今すぐに発見されても不思議ではない.
今後10年以内に千葉県,三重県,奈良県,岡山県,香川県,愛媛県など,南関東から太平洋・瀬戸内側の多くの県で発見される可能性が高い.
掲載日:2012年3月15日
分布データ: 廿日市市
計算方法:
・付着して運ばれる物資の流れがわからないため,これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンが類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGIS」を使用した.
予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者: 小池文人(横浜国大),害虫データベースからのデータ抽出: 森本信生(畜産草地研究所)