O157腸管出血性大腸菌(VT2)のひとつのタイプ_2017年夏

 

英名: Enterohaemorrhagic Escherichia coli (EHEC)

学名: Escherichia coli

原産地: 腸内で重要な働きをする大腸菌のなかでタンパク質合成を阻害するベロトキシンをもつもの.水平伝播で獲得されたともいわれる.そのなかでも特定の遺伝子型のものを予測した.

 

情報源

WHO: Fact sheets E. coli
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs125/en/

 

 

予測と復元

 

 

朝日新聞(2017916日)の情報をもとにした分布拡大の予測と復元.色の濃いところで早くから侵入すると予測された.相対的な侵入時期の早さのみを予測し,侵入年は予測していない.

 

2017916日の時点で利用可能な情報として都道府県ごとの侵入時期(確認できる最も早い時期で段階は混在)や,詳細な時期が不明の都県では「916日時点で分布」,および「916日時点で未分布」を利用している.

 

過去の多くの外来種の分布拡大データからパターンが類似したものを合成している.海外などからの侵入による長距離移動と,国内の分布拡大をともに含む.

 

 

2017916日に予測した侵入時期の相対値) 赤文字は既分布

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

都道府県

予測(相対値)

千葉

0

新潟

42

高知

67

東京

6

大分

42

石川

68

神奈

6

岩手

43

岡山

69

愛知

6

岐阜

43

徳島

70

大阪

9

北海

44

青森

71

埼玉

12

京都

48

長崎

72

静岡

16

滋賀

52

秋田

73

栃木

20

山梨

53

佐賀

73

茨城

23

和歌

53

福井

75

長野

25

愛媛

55

山形

77

兵庫

27

沖縄

57

富山

86

三重

29

奈良

59

島根

86

広島

34

宮城

61

鹿児

93

福岡

34

山口

62

鳥取

98

群馬

39

宮崎

63

熊本

100

福島

41

香川

66

 

 

 

 

今回の計算では916日の時点での朝日新聞による情報を利用した.予測された侵入時期と実際の累積患者数の関係をみると,患者数が多い千葉県や神奈川県で早い時期に侵入した経緯が再現された(下図).

予測された侵入時期(相対値)と累積患者数.プロットされた点は都道府県を表す.患者数を未発表の都県は表示されていない.ポアソン回帰による曲線も重ねて表示している (P<0.01)

 

 

 

 

掲載日:2017919

 

計算方法: 

・これまで知られている外来生物の分布拡大パターンの中から初期の分布拡大パターンが類似した種を抽出し,これを合成することで予測を行った.
・計算には「みんなでGISを使用した.

予測計算,種特性の記載,概況,注意・警戒事項の記載者:  小池文人(横浜国大),既分布の外来生物の分布拡大データは森本信生(畜産草地研究所),および昆虫情報処理研究会のゴケグモ類の情報センター,厚生労働省による過去の新型インフルエンザ情報(過去のまとめ検証用),環境省によるヒアリの分布情報などによる.

 

現在の分布状況:

朝日新聞2017916日付のデータによる.

 

 

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